従来の一体成形法との違い

右図は,従来の代表的なロストワックス精密鋳造のプロセスと,LWIMのプロセスを比較したものです。一見して,一体成形に対する工法的な考え方は同じであっても,LWIMのプロセスが概ね半分程度までシンプルな工数になっていることがわかります。
 工数が少ないということは,取りも直さずコストに直結します。従って,LWIMはロストワックス精密鋳造品の樹脂代替えに対し強力な手段となり得ることが理解できるでしょう。さらに,金属製品の樹脂代替えの場合は比重の差が大きいため,同一の部品容積で代替え可能な場合は大幅なコストダウンを実現することができることも容易に理解できるでしょう。従来のメルトコア法やソルブルコア法では,外殻樹脂にスーパーエンプラの様に成形温度が高く,耐熱性に優れた樹脂を使用することは困難でした。しかしLWIMでは前項で説明した通り加水分解式中子除去を行うためにスーパーエンプラの一体成形が可能となりました。昨今のスーパーエンプラの性能向上は目覚ましく,『鋳造品を樹脂代替えしたいが機械的性能が心配』という悩みを解決することができます。

鋳造との工程比較

 精密鋳造とLWIMを比較した時に決定的に違うのは,ロストワックス精密鋳造の場合ロウで製品の形を作るのに対し,LWIMでは中子で空間の形+アンダーカットになる内側の形状を作ることです。従って概要説明ページの写真にも示す通り,LWIMでは内側に高精細な文字彫刻を彫るといった造形も可能になります。
 もう一つの違いは,型に対する考え方です。ロストワックス精密鋳造では焼成したセラミックス粉末からなる鋳型を壊して製品を取り出すことが前提となっています。従って,型(鋳型)は毎回新たに作らなければなりませんが,一方で造形能力を高めることに繋がっています。しかしながら金型を何十万回もショットするLWIMの樹脂成形では,型を毎回壊すということは考えられません。よって,どのような中子を使うか?に技術開発の焦点が当て,それを如何に素早く除去するか?の技術を開発することになるのです。

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